GカップヲタクグラビアアイドルのGスポット 第10話
皆さん、やっていますかー? 迷走煩悩こと蛇の目です!
前にも申し上げましたが、墓まで財産は持っていけぬ、それに60歳を超えたら女の子は誰も相手にしてくれません。
定年で引退したら自適に遊ぼうなんて考えている方々、悪いことは言いません! 今すぐ遊びましょう! 棺桶に入るときに、「あのとき遊んでおけばよかった……」と思うはずです。
蛇の目は今でさえ遊び足りなかったと反省しております。若かりしころ、蛇の目にもモテ期があったんです。そのときになんでフル活用しなかったのか、後悔先に立たずとは正にこのことだと思います!
ずいぶん前、雑誌で読んだ記事を思い出します。観光で日本に来た、若いオーストラリア人男性と日本企業の中間管理職の方とのやり取りです。
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オーストラリア人:
「どうしてそんなに働くんですか? 何か大きな目標でもあるんですか?」
日本企業の中間管理職:
「そう、私には大きな夢があるんだよ」
オーストラリア人:
「だからそんなに働くのですね! ぜひその夢を聞かせてください!」
日本企業の中間管理職:
「私は60歳まで死ぬほど働いて、お金を貯める。そして定年退職したら、南の島に住んで、海辺でワインを飲んで、好きな本をたくさん読んで、毎日のんびりと過ごすんだ!」
オーストラリア人:
「??? それが夢なんですか? 僕が毎日していることと同じです……」
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日本人は働き過ぎです。働き過ぎの方が多いのではと、蛇の目はいらぬ心配をしております。大きなお世話でした、申し訳ありません。
前回、なんとY美ちゃんはマンションでローラースケートとStar Light狂想曲にのってパラダイスTENGA状態だということが分かってしまいました!
擬似であっても、失恋で大きな痛手を負った蛇の目は体重が8kgも落ちて周囲からは痩せて格好良くなったと……。悪かったな、前は少々太っていたもんね!
それでは、第10話「ブーメラン(完結)」をお伝えします。
数週間経ったころメールが「ピロン♪」と……。
あ、Y美ちゃんだ。なんだろ? ローラースケートと別れたのか?
Y美:
(蛇の目さん、ちょっとお話があります)
蛇の目:
(何かな? お金の相談ならのれないよ)
Y美:
(違います。もっと重要なことなんです)
蛇の目:
(なんか、シリアスな雰囲気だね。会って話す?)
夕方、Y美ちゃん宅近くの喫茶店で待ち合わせです。蛇の目が到着するとY美ちゃんはすでに店内の端の席にうつむいて座っていました。
蛇の目:
「遅くなりました。元気にしてる?」
Y美:
「あんまり元気じゃ……」
蛇の目:
「どうしたの? 体調よくなさそうだね。目の下にクマがあるし、寝てないの?」
Y美:
「ずっと寝られていません。あの、蛇の目さん……」
蛇の目:
「どうしたの?」
Y美:
「何か思い当たることありませんか?」
蛇の目:
「思い当たること? 何だろう?」
Y美:
「実は、生理が10日遅れているんです」
蛇の目:
「!!!」
Y美:
「もともと不順気味なんですが、いつも遅れても一週間くらいだし、何か変なんです」
蛇の目:
「変て?」
Y美:
「ずっと微熱が続いていて、あと胸が痛くて。それで妊娠検査薬で調べてみたら、陽性って出たんで……」
蛇の目:
「お医者さんには行ったの?」
Y美:
「ここのところお仕事が忙しくて、まだ行けていません。蛇の目さん、あの……ちゃんとつけてくれていましたよね?」
蛇の目:
「ぬっ!!!」
ヤバイ! あのときか! 完全に中出ししちゃったもんな……。
蛇の目:
「つけていたけど外れそうに……。いや外れたかな、最後にしたとき」
Y美:
「本当ですか!? 酷い! 何で言ってくれなかったんですか!?」
蛇の目:
「ごめん……怒られると思って……言えませんでした」
Y美:
「ウウッウウウ(涙)直後だったらアフターピルとかで、なんとかできたじゃないですか」
下を向きながら話しているY美ちゃんの顔から涙が何粒も落ちます……。
蛇の目:
「そうだよね……ごめんなさい。で、でも、まだお医者さんで診断されたんじゃないよね?」
Y美:
「グスン、明日の午前中に行こうと思っています」
蛇の目:
「一緒に行こうか?」
Y美:
「いえ、いいです。自分で行けます。終わったら電話しますから」
大変な展開になってしまいました。たった一度の中出しでこうなるとは煩悩の虜である蛇の目の馬鹿さも洒落になりません。
いや待てよ。あいつとは本当に何もなかったのか? シュン君とは? でも蛇の目に聞いてくるってことは、思い当たるのが蛇の目だけなのかな……。
全然寝られない夜を過ごしてしまいました……。
しかしこのときばかりは、ちゃんと責任を果たさなければと思い、翌朝を迎えました。
Y美:
「病院で妊娠してるって言われました。しかも触診までされちゃって……。もうヤダッ! ウウウッ……」
電話の向こうでY美ちゃんが取り乱して泣き崩れているのが目の前に見えるようです。
蛇の目:
「今日、仕事は?」
Y美:
「今日はオフです」
蛇の目:
「僕も休んでそっち行くから、家にいて。昨日の喫茶店についたら電話する」
ふたりして昨日と同じ席、同じように座っています。Y美ちゃんは、スッピン、黒のダテ眼鏡で下を向いたままです。
蛇の目:
「Y美ちゃんはどうしたい?」
Y美:
「どうって……。堕ろすしかないです、仕事もあるし。もしかして蛇の目さんは……?!」
蛇の目:
「僕はY美ちゃんがどちらを選んでも受け入れようと……」
Y美:
「何言ってるんです! 産めるわけないじゃないですか! 21歳で母親になるとか、考えたこともないです!」
覚悟は決めてきましたが、予想どおりの返事でした。
蛇の目:
「わかったよ。できることは全部するから自分で決めて」
ただただ泣くばかりのY美ちゃんを目の前に、蛇の目は何もできません。人生最大のツケが、巨大ブーメランとなって返ってきてしまいました。
後日、入院代も含めて少なくない金額を彼女に渡して本当にお別れです。不謹慎ですが、そのときの本心は「もうひとつの選択をして欲しかった」と……。
結婚できなくとも認知でも何でもしようと考えてたのは、身体的負担のない男の身勝手なワガママなのでしょうか……。
何があってもブログは更新し続けるY美ちゃん。
前から弱かった扁桃腺の手術で2泊入院して、同じアイドルユニットの友だちがお見舞いに来てくれたと報告していましたが、アップされたのは点滴をしている腕を撮った写真だけでした。
それから1か月が過ぎたころ――。
D介:
「蛇の目さん! 今日飲みましょうよ!」
某ビジュアル系バンドのD介からのお誘いです。こいつは飲みたくなると電話してくる調子のいい奴です。また二次会はキャバクラ行きたいとか言うんだろうな……面倒くさ!
D介:
「あ、蛇の目さん! 彼女連れてってもいいですか?」
蛇の目:
「彼女? 彼女いたんだ(笑)可愛いなら彼女の友だちも一緒に連れて来てよ!」
冗談も交えながら、結局六本木の会員制ダイニングで待ち合わせです。
D介:
「蛇の目さん、こんばんは! あ、これオレの彼女のX子です」
蛇の目:
「!!! あの、X子ちゃんてあのアイドルユニットのX子ちゃん?」
X子:
「え? あ、はい。ご存知なんですか? マイナーなユニットなのに嬉しいです(笑)」
蛇の目:
「ユニット7人、みんな仲いいのかな?」
X子:
「大体は仲いいですけど、何人かを除いてです(笑)」
蛇の目:
「へーそうなんだ! 誰が嫌われているの?」
X子:
「内緒だけど、N子とY美は浮いています」
蛇の目:
「なんで嫌われているの?」
X子:
「N子は遅刻しまくりだし態度がデカイんですよ! まぁ売れかけているから忙しいんだろうけど……」
蛇の目:
「Y美ちゃんも嫌われているの?」
X子:
「私は嫌い! いつでも自分自分って感じだし。男と女じゃ見せる顔が180度違うんですよ!」
蛇の目:
「たとえば?」
X子:
「嫌いなユニットメンバーを積極的にハブろうと仕掛けるのはY美だし。それにあの子、いま変なのと同棲してるんですよ、元ジャニーズ。もともとジャニヲタだから誰でもよかったみたいですよ。で、その自慢話で今日もお財布から1万円抜かれちゃってた! とか言ってのろけて嬉しそうなんですよ。普通そんなクソ男の話なんてしないじゃないですか~」
D介:
「オマエ、初対面なのに図々し過ぎ! 蛇の目さんが優しいからって失礼だろ!」
蛇の目:
「いやD介君、いいんだよ。で、もう少し聞きたいな!」
X子:
「うーん、あ、これ絶対内緒でお願いしますね、あの子、先月堕ろしたみたいなんです。ユニット内で唯一仲のいい子にお見舞いのアリバイ工作頼んだみたいですけど、喧嘩してその子がほかのメンバーに話しちゃったんです(笑)Y美はみんな知らないと思ってるみたいだけど、残りのメンバーはN子以外みんな仲いいから(笑)」
蛇の目:
「あのさ、もしかしてY美ちゃんの同棲相手ってシュンいう人じゃない? 元ローラースケート軍団の」
X子:
「えっ? なんで蛇の目さん知ってるんですか?」
ゴゴゴゴゴ……茫然自失……です……。
オレの子じゃなかったのか! おおおおお、オイ! J12と100万円返せ!
本当に大きなブーメランが飛んできてしまいました……。
いかがでしたでしょうか。
10回にわたってお届けして参りましたが、最後はいつもと違い、笑えぬ展開になってしまいました。
別れた直後、彼女は電話番号もメールアドレスも変えてしまい、一切の連絡を絶ちました。Y美ちゃんとのことは蛇の目の交際経験を語るうえで、大きな出来事であったことは間違いありません。
そして今でもこう思います……。
オレの子だったら生まれて数十年後、オレと同じくヤリまくりだったんだろうなと(笑)。
なお、この物語はフィクションであり実在の人物や団体等とは一切関係ありません。全10話、すべてフィクションです。仮に現実と似ているような部分があったとしても、それは皆さまのご想像の中でのこととなります。